救急医療

 一月ほど前にとある病院で足の治療のため入院していた。 入院生活は非常に退屈だ。 有料のテレビのカウントはあまりに早くて金がかかる。 読書は時間が有り余っているせいか、速いテンポで読み終わってしまうのですぐに時間を持て余してしまう。そんな暇な時間を病院内の散歩で費やした。 ちょうどリハビリにもなるから。
 その病院は地域でも有数の大病院であり当然救急指定されている。 一日に何回もけたたましいサイレンと共に急病患者が担ぎこまれる。 急患の対応とはこういうものであると思っていたのだが、実際にはもっと地味なものであると、散歩がてら知ることになった。 
 夜間の外来病棟は静まりかえっている・・・ と思ったら大間違い。 幼い子供が泣き叫ぶ声や携帯の着信音、お互いの不安を打ち消そうとしている急患の身内の方々。 結構騒がしい。 中でも初めに挙げた乳幼児の人数は常に5〜6人で、急な発熱や嘔吐・夜鳴きに困った両親があわてて連れてきたようだった。 このように患者の数が意外にも多いため、診察の待ち時間が1時間や2時間ということもある。
 実は大晦日に父親が体調を崩して倒れそうになったので急患として病院へ連れて行った。 幸い特に以上は無くただの『立ちくらみ』だったのだが、入院していたときの急患の家族の顔が目に浮かんだ。 父を連れて行ったときも入院していたときも修羅場のような状況に遭遇することは無かったが、それぞれの家族を想う光景に思わず見入ってしまった。 自分自身もその中の一人なのだが。

 急患として診察を受けると割り増しになるものであると思っていたが、少なくとも父を連れて行った病院ではそういうことは無く、通常の外来診察を受信したときと何ら変わらない料金設定である。 ただデメリットとして当直医による診察になるので、専門医に見てもらえないということがある。 結局次の日に専門医に見てもらう必要があるが、急を要するときはやはり病院へ行くべきだと思う。 私は医者嫌いだが。