お蜜柑の次は?

 正月もすでに11日になり、昨日は年々カラフルになる晴れ着姿の新成人たちが冬景色を彩っていました。
 この時期、蜜柑は収穫のピークを過ぎ、低糖度や薄皮が厚く成りだす『中生(なかせ)』から、さらに日持ちが悪くなる『晩生(ばんせ)』に移行する季節です。 つまり「不味く」なっていきます。 (『早生・中生・晩生』の説明はまた今度!)
 ではこれからの季節、スーパーの果物コーナーを彩ってくれる果物は何か?

やっぱり柑橘類です!

 柑橘類といっても毎年新種が現れ、何と何の掛け合わせが何やったわからんようになってきているぐらいたくさんの種類があります。 今日はその中でも人気が高く好まれている『伊予柑』の失敗しない選び方を紹介いたします。
 ぶっちゃけまして、いよかんは口の中に入れるまで甘いかどうかはっきりとはわかりません。 すみません、力不足です。 しかしみなさん、こういった経験ございませんか? 「おいしそうやったから買ってきたけど、果汁が無くてパサパサしてる!」「酸っぱすぎる!!」「水臭い! 味が薄い!」・・・・
 毎年こういったクレームがいよかんが果物コーナーの一角を担う存在になってくると増えてきます。 いよかんは「当たりハズレ」が非常に顕著に現れてきます。

 ではいってみましょう! ここを<見てみて!> 『いよかん

  • 外皮の色

×黄色っぽいもの       ○オレンジ色(橙色のほうが近いかな?)

  • 重み

  ×軽い            ○スッシリと重い

  • 外皮の張り

 △10代の女性のお肌ような瑞々しくて張りのある外皮  《すっぱいかも!?》
 ○20代後半から30台半ばの「ちょっと張りが・・・」 《いい感じ!》
 ×張りが無くシワが・・・               《味が薄い!?》


 なんでもそうですが、お日さんにぎょうさん当たっているほうが当然甘くなります。栽培地である山の斜面の方角や高度、地形などで糖度を含め品質に大きな違いが生じます。 特に柑橘系の場合はこういった条件が大変重要で、同じ地域・同じ品種でも生産者が違う(要するに同じ山でも南側か北側か)だけで市場のセリの段階で価格に大きな開きが生じてしまうほどです。
 十分な日照時間によって育ったいよかんは糖度が増します。 また果肉が十分に成長し水分も申し分なくジューシーです。 これは外皮の濃いオレンジ色と重量感で判断します。 では外皮に張りのあるほうが新鮮でおいしいのでは?ということになりそうですが、果物の場合はそうではないことが多いようです。

 『追熟』といって収穫後に果実が熟れておいしくなる現象があります。 果物は植物の「栄養タンク」見たいな物です。 植物は根を地中に張ることで水分と共に土中の栄養分を、また日光によって葉で光合成が行われ養分を生産します。 こうして得た養分は成長するためのエネルギーとして消費するほかに種や果実に蓄えられます。 種に蓄えられた養分は次の世代のためのエネルギーとして、果実に蓄えられた養分は我々がおいしくいただきます。
 我々が食べるために収穫した果実は、根や枝から切り離され養分を得られなくなった後、今度は自分自身で養分を生産しようとします。 果実中にある成分を糖分に変えることでエネルギーを得ようとするのです。 これが『追熟』の正体です。
 
 確かに若々しいいよかんにも魅力を感じますが、ぜひとも人生の酸いも甘いも経験した「味」のあるいよかんを選んでいただきたいものです。